「ロック」とジャズとギター 

なんか更新全然してないなあ。今は無き伝説のメルマガ(?)「電化ジャズ通信」に3年以上前に書いた文章なんだけど、とりあえずコピぺで場つなぎ(?)

「ロック」とジャズとギター

 エレキギターというのはまずは「量」的な楽器であると私は思う。ポピュラーという量的概念を支えるもっとも量的な楽器。まずはエレキギタリスト人口の多さ−そうそう、日本の有名な音楽エンジニアリング向け雑誌の読者で一番多いのはエンジニアではなくてギタリストなんだそうである−。もちろん音量の問題もそうだ。そしてマス・オーディエンス。特にギターという楽器を巡って量的な欲望が立ち上がったこと、そしてその欲望が見事なまでに実体化した(マス音楽及び音量)ということは、多分20世紀の音楽にとってすごく決定的なことだったと思う。エレキギターを巡る量的なパワーは、20世紀の半ば過ぎから炸裂し、巨大でグローバルな音楽産業をも確立させた。量としての音楽、エレキギターとは、そうした現代の音楽の一面を理解する契機だともいえる。そしてそれを私はここでは「ロック」という言葉で呼んでみたい。つまり、音楽のひとつのジャンルというよりは、20世紀に量的拡大を被った音楽及び音楽を巡る現象全般としての「ロック」。

 もちろん、電化という意味では、ジャズは現象としての「ロック」に先立っている。ビーバップ初期から、つまりはチャーリー・クリスチャンの時代から、ギターは電気的にアンプリファイ(音量的増大)されているわけで、まさに電化ジャズという意味でもこの楽器は優等生的なものなのである。しかしその後、「ロック」における飛躍的な量的炸裂を横目でみながら、ジャズギターは量の生産とは一線を画してきたといえるだろう。例えばジャズギタリストに使用されてきた楽器はほとんどの場合が、ボディが空洞になっているタイプであり、こうしたタイプのギターだと、ある程度大きな音をだすと、ボディの空洞が共鳴してハウリングを起してしまうことになる。つまり十全なる量的パワーの炸裂を実践するには不十分な構造をもったギターが、結局のところジャズでは用いられ続けたということだ。この量的な観点からは不十分な楽器(フル・アコースティック・エレクトリックギター、ないしはセミ・アコースティック・エレクトリックギター)を、多くのジャズギター系のギタリストは愛用するのである。

 もっともだからといってジャズギターは量ではなく質の世界である、などと言うつもりは毛頭無い。量と質は対立的な概念ではなく、量は質的でありうるし、質は量的でありうるからだ。多分いえるのは、例えば、倍音成分の強力な増大によって3度の音程すら不明瞭なものにまで持っていき(つまり強力なディストーションサウンド)パワーコード(完全5度の世界)の分厚い世界を構築するロック的指向性(あるいは嗜好性)−それはロックの音響としての本"質"だと思う−とは異なり、ジャズギターにはそうした指向性(あるいは嗜好性)がない、ということである。ある意味では当たり前のことだが、ジャズの和声的特徴/伝統は、ジャズギターの量的拡大を妨げている一つの大きな要素なのだ。そしてもしその特徴/伝統を棄てるならば、ジャズギターは、ロックギターと本質的に違いのないものになっていくであろう。また一方で、ジャズギターの70年代における一つの変容、つまり量的拡大とジャズ的和声との融合・調和こそが、クロスオーバー/フュージョンギターの特徴なのだということもできるであろう。

 8年くらい前だったか、ビル・フリーゼルのバンドにジム・ホールがゲスト参加したセッションを聴いたことがある。特殊なファイバーで作られたギターを用いるビル・フリーゼルは、例によってモジュレーション・ディストーション・ディレイ・リバーブ等を組み合わせ、そして音量をボリュームペダルでコントロールしたり、トレモロアーム(だと思うのだが)で弦のピッチをコントロールしたりと彼独特の世界を作る。一方ジムホールは、ノーエフェクトで、フル・アコースティック・エレクトリックギターからアンプへの直結という彼らしい伝統的なセッティングだった。基本的には昔通りのジム・ホールと、テクノロジー駆使のビル・フリーゼル。しかし彼らは量的なもので「勝負」しようとはしない。これは多分ジャズギターの伝統だ。可能性も限界もあるジャズギターの特性なんだと思う。量的な土俵では絶対「ロック」に負けるからね。
[2006/10/23 02:56] music in general | TB(1) | CM(0)

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『ジャズ・ロック』番組・メンバー・アーティスト情報

ジャズ・ロックジャズ・ロック(Jazz-Rock)# 音楽のジャンルにおいて、ジャズより発展した一つの演奏スタイル。1960年代に、アート・ロック、ブラス・ロックなどの、演奏技巧を主体としたロックミュージックが台頭した。それらの影響を受け、ジャズにおいても電気楽器(エフェ
[2007/02/15 00:20] URL アーティスト図鑑