例えば、深夜1時半、最寄りの駅にたどり着き−電車はどっかの駅で線路に人が降りたとかかで15分遅延ー明日は10時からビジネスミーティングだなあ、やれやれ、などと思いつつ、なぜか駅前のチェーン店系居酒屋の重力に打ち勝てずにひきこまれてしまい、妙に薄味の純米酒ーグラス、受け皿及び受け升になみなみとその妙に薄めの純米酒(690円也)を注がれる意味不明の過剰サービスを享受しつつ、タコブツ(480円也)をとりあえず注文し、iPodでは古内東子の「誰より好きなのに」が流れ出し、それじゃあついでに松原みきの「真夜中のドア」でも聴いちゃおか、ってな深夜特有のへんなセンチメンタリズムに落ち入りつつーいざ聴いてみると全くセンチな気分にはなれず、しらじらとしつつも、カウンター前のちょうど1ダース分の鯵(あじ)が明日明後日の命だとも知らずにひらひらときらきらと泳ぐ水槽を注視めながら、iPodのシャッフル機能の僥倖により、セロニアス・モンクのコルトレーンと一緒にやったライブ版が流れ出したらいきなり鯵(あじ)たちが生き生きと見えだして、たこぶつ終了、続いてオーダーした「青なまこ酢」(480円也)をコリコリココリコリとやりながら、耳はモンク&コルトレーン、口はナマコをコリコリコリコリ、目線は鯵1ダースの群舞という、いわば至極のサブアーバンな快楽が、こんなところで、こんな時間に味わえるとは。